『  彼女・彼氏 ( あのひと・あのひと )  ― (1) ―  』

 

 

 

 

 

   ひと目 見あったその日から

 

            恋に落ちることも   ある・・・?

 

一目ぼれ とかいうけれど。 そんなの 有り得ない?

いや あるでしょ。 ロミオとジュリエットとかそのテのハナシは

古今東西 溢れていますからね。

信じる 信じない は アナタにお任せ ・・・

 

    で  ここに。  一目で恋に落ちた二人  が います〜〜

 

 

 

§ 彼女 ( あのひと )       島村ジョー君・談

 

 

 やっば〜〜〜〜  超かわい〜〜〜〜 やべ〜〜〜 

 

それが第一印象 さ。

一目ぼれっていうんだって、こ〜ゆ〜の。

ふ〜〜ん・・・ けどね、別にさ 彼女の顔とかだけに  ぐ!  って

思ったわけじゃないぜ?  

だけどさ〜〜 なんつ〜か びびび って 来たんだよね 俺。

 あ。  < ぼく > だった ・・・

 

うん ホント言うとさ あの時 ― っつか 初めて会ったときなんだけど

逆光になっててさ 顔とかよく見えなかったんだ。

 え? 偏光レンズ眼で見えてただろって?

 

あのな〜〜 あの時って 俺  あ  いや ぼく さ〜〜

も〜〜 なんがなんだか めっちゃくちゃだったんだぜ?

混乱の極み ってヤツさ。

最新型だろって ?   そんなこと、わかるわけ ね〜だろ。

そもそも ぼくって理系じゃないし〜

 

最後に覚えてるのは  こう・・・海に飛び込んだってことだけさ。

次に 目を開けたら ― うん なんかやたら眩しくて。

 あ そうそう なんか拘束されてたっけ。

捕まったか?? って一瞬思ったけど 次に瞬間 ヘンなガスが流れてきて

あとは真っ暗 さ。

 

 そんでもって。  目が覚めたら いきなり、だよ。

なにがって めっちゃ攻撃されてきたわけさ あの真っ赤っかな服着ててさ。

もうさ〜〜〜 最初は必死で逃げたよ。 当たり前だろ?

知らないヘンなものにおっかけられたら 逃げる が決まり。

必死で走ってたら  なんか背中にわさわさしてるんだよ〜   超〜邪魔!

 

 ― あのマフラーさ、なんだってあんなに長いんだろ そう思わん?

 

それになんだってあんな色なわけ?  赤に黄色、だぜ?

信号じゃね〜よ〜 ・・・ とんだセンスだよ〜〜

 

 俺 あ ぼく なら ・・・ そうだな〜〜 黒の防護服に 

うん どうしてもマフラー必須なら ちょいと背中に垂れる程度にして・・・

色? へっへ〜〜〜 銀 とか ど?  キンキラ金 でもい〜な〜〜

 

あ えっとね、 それでさ。

なんとか逃げている間に なんか甲高い声がアタマの中でがんがん・・・ 響いきて

 あ〜〜〜 とうとう アタマ いかれちまった・・・って思ったさ。

 

   僕ヲ 信ジテクレ。  

 

いきなりそんな風に言われてさ〜〜 すぐに信じれる?

 そんなん、 あっと言う間にオレオレ詐欺の餌食 だよ 気をつけな。

 

でもな〜〜  もうぎりぎり追い詰められて あの声にすがったんだ。

そんでもって  ―  カノジョと 会えた。

 

  うん。  運命だった って 信じてる。

 

逆光で 顔なんかはっきり見えなかった。 

でも  でも。  ぼくには < 見えた > のさ。

そんでもって   びびび  がび〜〜〜ん。  撃ち抜かれたね〜〜

え? なにをって  はーと に決まってるじゃん。

 

 まあ 初めて会ったあと ― いろいろあってさ。

ドンパチ あったわけなんだけど ぼくは二ホン生まれ 日本育ちなんだぜ?

こんなカッコだけど さ。  あ 髪 染めてないから。 カラコンも入れてね〜よ。

そうさ〜 平和・ニッポン。 平成っ子。

ドンパチ なんて 映画かアニメかゲームの中 だけだよ。

銃? あんた 日本人なら持ったことあるのは せいぜいが水鉄砲だろ?

もう おたおたしてたら。

 

    僕ノ 言ウ通リニ ヤッテミテクレ

 

例の声がさ〜 アタマの中で響いて ・・・・ なんとか切り抜けたんだ。

でもさ その後 すぐにまたドンパチ〜〜 始まって。

も〜〜〜 マジ 死にそ〜〜で < なかま > の後にくっついて

行ったんだけど。

 

    003ト 一緒二行ッテ来タマエ

 

なんちっち〜 超〜〜うれし〜〜ことなんかもあったぜ。

 ・・・ カノジョ、いろいろ教えてくれたんだ♪

あ あの時さあ 俺 加速そ〜ち の使い方、覚えたんだ〜〜〜 

初加速 ・ なう 〜〜〜〜♪  インスタ映えすんじゃね?

 

でも さ。

とうとう酷いダメージを受けて ― 医務室みたいなトコに担ぎこまれた。

よく 覚えてないよ、 だって 吹っ飛んで わ〜〜って真っ暗になり・・

気がついら ベッド だったんだからね。

 

 あのコが 覗きこんでた。 

 

「 あ 意識、回復したわね。  もう大丈夫 」

「 ・・・ あ ・・・ お 俺 ・・ 」

「 ・・・ 安心して。 ひとまず 無事だから 」

「 ・・・ 無事って ・・・ 怪我とかヤバいわけ? 」

「 大丈夫よ。  怪我は しないから。 」

「 ??? 」

「 少し 休んだほうがいいわ 

「 ・・・ 

 

マジ なんかぐた〜〜 だったから ちょっと助かったよ。

なんか俺の身体に いっぱいコードとかくっついてて・・・ 機械じゃね〜ぞ〜って

思ったけど あのコはベッドサイドに置いたPCみたいの、じ〜〜っと見てて

 

「 うん 数値に異常はないわ 

「 ?? す すうち ? 」

「 ええ そのうちわかるから。 さあ 今ちょっと余裕があるから

 眠っておいた方がいいわ 

「 ・・・ う うん ・・・ 」

俺 なんかめっちゃ素直に なっちゃった。

 

あのコ ―  優しいコ だった ・・・ うん すぐにわかった。

顔が可愛いってだけの女の子は い〜〜っぱいいるけど

ホントに優しいコって そうそういないぜ?

 

お兄さんがいるって。  いいなあ ぼく 親も兄弟もいないからさ。

パリが故郷なんだって! かっけ〜〜  いいなあ・・

だから 思わず さ ・・・

 

「 パリに帰ったら またお兄さんに会えるね  

 

そう言ったんだ、そしてら ・・・ ものすご〜〜く淋しい笑顔になった。

 

    あ あれ・・・? ご ごめん なんかマズイこと 言った?

 

俺の表情で察したんだろうね。 透明っての? 向うが見えるみたいな笑みで

 ― ぼくがいいたいこと わかる?

「 ・・・ とんだおばあちゃんで ごめんなさいね 

 

        って!  言ったんだ ・・・ !

 

彼女の事情はわかったさ。 40年?? マジかよ? 

わかった途端!  俺 なんかこう〜〜〜 奴らに 激こお だった!

なんでさ〜〜〜!! こんなカワイイ子をさっ!

 

「 そんなこっと。 トシなんてぼくには関係ないよ 」って 言いたかったんだ。

ホントにそう言いたかったんだ。

  けど ― うまく言葉がでなくて どう言ったらいいかわかんなくて

でも なんとか彼女のこんな顔、消してあげたくて でも なんもいえなくて

 

 

      きゅ。  すぐ側にあった彼女の手を 握ったんだ。

 

 

「 あ  あら ・・・ 」

「 ・・・・ 」

相変わらず な〜〜んも言えなかったけど。 けど!

俺  いや  ぼくはこの時、決めたんだ。 ずっと彼女を護ってくって。

 

「 009 」

「 ぼく 島村ジョー っていうんだ。 よろしく! 」

「 あ あら。 わたしは フランソワーズ・アルヌール。 

「 ふらんそわ〜ずさん かあ〜  キレイな名前だね 」

「 そう? ふふふ・・・ 古臭い名前なんじゃない? 」

「 を そんなコト、ないって!  」

「 ありがと 」

「 あ  うん ・・・ ぼくこそ ・・・ いろいろ教えてくれて

 ありがとう。 」

「 ?  なにも教えてないけれど ・・・ 

「 え〜 だってほら。 どんぱちやってた間 ず〜〜〜っときみの声で

 いろいろ・・・データっていうの? あれが聞こえてたよ 」

「 ・・・ ああ。 アレは 戦闘中のわたしの仕事ですもの。 」

「 きみの しごと ・・・? 」

「 そうよ。 わたしの能力 ( ちから ) は 強化された聴覚と視覚。

 戦闘中は皆のレーダーでありソナーだわ。 

 だから位置データとか 砲撃弾の軌道とか ・・・ 皆に送るの。 」

「 すっげ〜〜〜な〜〜〜 ・・・ あ でも もらったデータって

 ぼく用のだった ・・・けど 」

「 そりゃそうよ。 皆にそれぞれ送っているの。

 あのね <聞こえた> のじゃなくて。 脳波通信でアナタの知覚に

 直接送っているのよ 

「 へ ・・・ え ・・・ 」

「 アナタね、009。 きちんと自分自身の能力 ( ちから ) を

 把握していなければダメよ。  009は最新型って聞いているけど

 その能力を使えなえれば 意味ないのよ 」

「 あ ・・・ そうですね ・・・ はい。 」

「 ? 可笑しなヒトねえ。  あのね、わたし達は皆それぞれ

 違った特殊能力を強化されているの。  余裕がでたら仲間たちの

 能力 ( ちから ) も知っておくことね 

「 はい ・・・ 」

「 それで ・・・ 009 あなたは? 」

「 ジョー。 島村ジョー。 」

「 え? あ ああ ・・・ごめんなさい、 ミスタ・シマムラ 」

「 ジョーだよ ジョー。 」

「 ジョー。 あなたの能力 ( チカラ ) は なに 」

「 ぼくの ・・・ なんだって? 」

「 だから 最新型の009の能力を 説明してちょうだい。 」

「 あ あの ・・・  」

「 博士からレクチュアされたでしょう? 」

「 あ ・・・ うん なんか紙 みせてもらったけど 

「 じゃあ それをしっかり把握して。 そしてわたし達にも伝達して。

 仲間の詳しい能力を知っておかないと ― 今後の作戦のためにも ね 

「 さくせん ?  あの なにかあるの 」

「 ・・・ 」

 

    ふう〜〜〜〜  

 

 彼女ってばさ 俺の顔、じ〜〜〜っと見てため息ついたんだよ。

え なに? 俺 ・・・なんかヤバいこと言った ??? って焦ったぁ〜〜

 ・・・ そ。 この時 な〜〜んもわかってなかったから。

 

< 自分の能力 > なんて言われたってさ、わかるわけないじゃん。

博士がみせてくれた紙? そりゃみたけど、よくわかんなかったし・・・

覚えられるわけね〜〜よ って思ってたし。

< 能力 > なんていわれてもさ〜〜〜  どうやったらスイッチ・オン に

なるわけ〜〜って。  俺 思わず自分の身体 みちゃったさ。

どっかに スイッチ とか ボタン とかくっついてんのかな〜〜〜って。

 

   全然。 この前、風呂に入ったときと同じなんだ。 うん。

 

 さいぼーぐ って言ってたけど・・・ 全然変わってね〜じゃん。

 

出会った < なかま > 達の中にはさ うっわ〜〜〜ってメカっぽい部分が

見えるヒトもいたけど ・・・ 俺は全然 変わってないんだもん。

わっかるワケ ね〜じゃん!  って思ったけど。

 

「 ごめん。 あの ― 俺 あ いや ぼく・・・

 その〜〜〜 いろいろ 混乱してて。 よくわからないんだ。

 ごめん 教えてくれる  ? 

 

点数 稼がなくちゃ〜〜〜 って う〜〜んと丁寧に 言ってみたんだ。

神父様に よ〜〜〜くよく言われたもんな。

 

   目上のヒトと話す時は 丁寧な言葉づかいをしなさい。

   これは 君のためでもあるのですよ?

   君が礼儀正しい少年だな、といい印象を持ってもらえます。

 

そ〜なんだ〜〜  印象って大事だぜ?

俺 なんとしても このコ、 こっち向かせるだ〜〜〜って決めてたからね。

マジで 真面目な新人  を 演って ( やって ) みたよ。

 

  ―  そしたら ・・・

 

「 ああ ・・・ ごめんなさい。  アナタ、改造されてから

 まだ日にちが浅いのよねえ ・・・ 詳しいことなんか わかるワケないわよね。 」

彼女〜〜〜 謝ってくれたんだ。

 え〜〜〜 キミのせいじゃないってば。 そんなの、ナシ だよう〜

「 あ ごめん。  謝るのはぼくの方です、 すいません。

 あの ・・・ そんでもって。 もし  よければ 」

「 ??  なあに  」

「 ハイ。  あのう ・・・いろいろ 教えてもらえませんか 」

「 ・・・ そうね。 それしか方法はないわねえ ・・・・

 いつまたアイツら が やってくるかわかないんですものね。 」

「 う うん ・・・ 」

「 いいわ。 では まず わたしが知っている限りの情報を 送るわね。 

「 は  はい ・・・  う  わあ〜〜〜〜〜????   

 

   突然。 

 

アタマの中に ぶわ・・・っと   すっげ〜〜〜 量の じょうほう っての?

なんかいろいろ・・・ 入ってきたわけ。 数字とか ガバ!!!

マジ、頭 ブチきれるかと思ったよ。

 

「 受け取った?  それを補助脳にキープしておけばいいわ。

 それで アナタの身体が自然に反応してくれるようになるはず・・・ 」

ほじょのう?  なんだ ソレ? 

キープ ってさ。 ああ  上書き保存  とかしておけってこと??

だけどぉ〜〜 どうやってやるんだよ〜〜〜〜

 俺のどっこにも 見慣れないボタン とか スイッチは ないんだ〜〜

「 ・・・さあ  もう眠った方がいいわ  明日 ・・・ どうなるのかしら 」

俺〜〜 めっちゃ混乱してるのに  彼女はとても静かに言って

部屋を出てゆこうとしたんだ。

「 あ  う うん ・・・ あの ・・・ 」

「 ? まだ なにか。 」

「 あの。 ごめん 教えてください。  キープ とか・・・

そのう ・・・どうやればいいのかな。 どこかにスイッチとかある ? 」

「  え?  ・・・ ああ そうなのね、それもわかないなのね 」

「 ・・・・ 」

彼女ってば  じ〜〜〜っと俺を見た。  そして・・・

 

「 あのね。  そうしよう、と強く意識して。 それでインターフェイスが

 稼働するから。  ・・・ 外付けスイッチ はないのよ 」

「 ・・・ あ  はあ・・・  」

「 じゃあ ね。 お休みなさい 」

「 あ  ・・・ あ  お おやすみ ・・ なさい  」

 

  パタン。  彼女は静かに ホント、足音も立てずに出ていったんだ。

 

     うっそ??  いしきする だけ??

 

「 マジかよ〜〜〜  ・・・・ ん〜〜〜    あ あれれれ ?? 」

音 聞こえろ〜〜 って念じたんだ、そしたら!

 

  カツカツカツ  お〜い 新入りの様子はどうだ?  なあ 腹へった〜〜

 

突然 今まで聞こえてなかった < 音 > が どどどど〜〜〜〜って

俺の耳に入ってきたんだ!

「 ひょえ 〜〜〜 ・・・・ すっげ すっげ すっげ〜〜〜な〜〜〜 」

これって < さいぼーぐ としての能力 > ってわけ??

「 ・・・・・・ 」

俺、いや ぼくはひたすらびっくり☆ で 医療ベッドに中で

固まっていた。

 

    ・・・ そっか。  もうニンゲンじゃない ってことか

 

ふっと・・・そんな風に思えて ― なんかさ〜〜〜 急に胸 キュンさ。

「 009。 そっか ・・・ 島村ジョー は死んじまって

 ここにいるのは さいぼーぐの 009 ってことか  」

すっげ < 能力 > があるらしいのは なんとなく感じた。

けど  けど。  ニンゲン・島村ジョーは もういない ってことが

なんか なんか めっちゃ辛くて。  ショックで。

 

    ち  ちくしょ〜〜    そんなんしてくれって誰が頼んだよ?!

 

またまた 怒りめらめら〜〜〜 なんだ。

 「 !  そしたら ・・・ あのヒト達 001 から 008 まで

 ってことは あの! キレイちゃんも  ・・・ 同じ なわけ か ・・・? 」

 

        ぼぼぼぼぼぼ〜〜〜〜〜〜

 

俺 もう 激おこ なんてもんじゃなかった。

あんなカワイイ・キレイなコに なんてコト しやがったんだよ〜〜

 

     俺が 護る。 あのコ ふらんそわ〜ずちゃんを。

     この俺様が 護るんだあ〜〜〜

 

怒りのBBQになりつつ 俺 いや ぼく、 009は そう誓ったのであります。

 

 

 

 

 § 彼氏 ( あのひと )       フランソワーズ・アルヌール嬢・談

 

 

ラスト・ナンバーの改造が始まった ・・・ 

 

断片的な < 情報 > が 一瞬脳裏に飛んできて 消えたわ。 

「 了解 」

短く返信し すぐに脳波通信を閉じた。

周波数は登録されているから 奴らには筒抜けだもの。

でもね それが狙いでもあるわけ。

全部わかることを いちいち細かくチェックなんかしないものよ ― 普通のニンゲンはね。  

だから ごく普通のコトバなんかはほぼスルーされているの。

 

   短ク 送ルカラ。  

 

001から それこそ短い通信がくるの。

 それで わたし達は わたし達の極秘作戦 ― 悪魔の島からの脱出 ― を

じりじりと進めていたのよ。

 

ギルモア博士?  ええ ・・・ そりゃ 初めは信用なんかしなかったわ。

逆スパイ じゃないけど そんな罠の可能性が高いじゃない?

だって サイボーグ計画の首謀者が そんな ・・・

001だってすぐには 乗れなかったって。 当然よ。

それどころか

 

    用心セヨ。 新タナ心理とらっぷカモシレナイ。

 

そんな通信も来たわ。

誰も疑心暗鬼、 信じられるのは仲間たちだけだった・・・

 

でも ね。 違ったの。  博士の決心は本当に強固だった。

何十回も彼の精神をトレースし、001はやっと心を許したって言ってたわ。

 

  そして  ―  全員で決めたの。

 

最後の一人の改造が終わったら 彼を味方にして脱出、ってね。

最後の一人、つまり 009は最新型、最強のサイボーグって聞いてたから・・・

頼もしい仲間になるだろう、って 001も判断したのでしょうね。

 

 ― それで  あの日 を迎えたのよ。 ええ 全員が切望していた日・・・

 

     009 は わたし達の前に現れたわ。

 

 

            だけど。

 

彼は 不安な瞳をした少年で  混乱の極みらしかった・・・そりゃそうよね。

皆 ええ わたしだって < 目覚めた時 > はそうだったもの・・・

すぐに 恐ろしい絶望の淵に叩き落とされたけど・・・。

当然でしょ? だいだいね、拉致してきて勝手に改造って許されない行為よ!

悪魔の組織だってそれだけでもわかるでしょう?

そんな一味に捕まってしまった ・・・ もう なにがなんだかわからないわよね。

 

            でも。   でも   ね!

 

       ・・・ !  なんなの  このコ !

 

わたし、表情は変えなかったけど 心の中では思いっ切り!顰めっ面してたわ。

009なのよ?  最強・最新型のサイボーグなのよ?

 

  なのに・・・!

 

ねえ すぐに地面に座り込むの、やめて。 だらしない・・・

ええ わたし ちっちゃいころからレッスンの間は 絶対座っちゃだめ って

言われてきたからもう ~~~

普通の時だって習慣になっているの。  立っている方が楽よ。

だって みっともないでしょ、べたべた床に座ったり・・・

 

オトコの子なのに! なにかっていうと座り込んで  それも隅っこで。

ちょっと〜〜 そんなトコでいじけてる余裕 ありませんっ

 

≪ 003、 009ト 一緒二行ッテキタマエ ≫

 

 001に言われて 009と見回りに外に出たけど。

もう これは < 付き添い > だったわ ・・・ 坊やに付きそうナンニーよ。

だってね!  な〜〜んにもわかってないの あのコ!!

現在の状況はおろか 自分自身のことすらも!

 

小高い丘にでたわ。  海岸線が見えていろんな鳥とか小動物がいたの。

「 ・・・げ。 なんだ アレ〜〜 」

「 ?  ああ ・・ 変わった鳥でしょう?

 ここは二つの潮流が出会う位置にあるらしくて  珍しい動物がいるのね 」

「 マジ〜〜〜 」

「 ?  ここからだと海岸線がよく見えるわ・・・  あ。 」

「 な なに?? 」

「 ロボット兵団 が 上陸してくる 」

「 !!  ここにいたら危ないんじゃね? 」

「 ええ。 やっつけてきたら?  アナタなら簡単でしょう? 」

「 はあ!? お 俺が??  なんで? 」

「 ? なんで ・・・って。 あなた 009 でしょう? 」

「 ぜ ・・・ なに?? 」

「 009。 自分の能力を確かめるためにも 格好の相手だと思うわ。

 ロボット兵だもの、斟酌は無用よ  

「 ・・・ だ だ だって ロボット なんだろ アレ 」

「 そうよ。 」

「 やべ〜〜〜じゃん! 俺 ニンゲンだし〜  ムリ〜〜〜 」

「 スーパーガンの使い方、教えたでしょう? アイツら 動きも鈍し

 カンタンよ。 さあ 行って! 」

「 ・・・ マジ〜〜〜〜 ? 」

「 そろそろヤツらのレーダーにも ここがひっかかるわ。

 先手必勝よ、 行って! 」

「 ぼ 暴力 はんたい・・・ 暴力はなにも解決しません・・・ 」

「 009!  ( バカじゃないの、このコ! )

 行かなければ こっちがやられるのよっ 」

「 うっそ ・・・  やべ〜〜・・・」

ぶつぶつ言いつつも 彼はやっと動きだしたの。

闘いだせば さすが最新型よね、あっと言う間にロボット兵団は壊滅した。 

 

「 ・・・ ふう ・・・ 」

「 ふふ ・・・ やったじゃない? 」

「 ・・・ こんなことばっかなわけ? 」

「 え? 」

「 これからさ〜 ず〜〜っとこんな事ばっか? 」

「 え ・・・ この島を抜け出すまではね。 」

「 じゃ さっさと逃げようぜ 」

「 だから! そのために闘っているのよっ 」

「 あ そ  っか ・・・ 」

「 そうよっ そのためにアナタのチカラが必要なの、 009 

「 うっそ〜〜〜 ・・・ 」

「 嘘なんて言ってません。 」

「 は? 」

 

      うっそ〜〜〜    マジ?   やっべ〜〜〜    は? 

 

なにかっていうと そう言うんだけど ・・・ どういう意味なのかしら。

あのコのコトバ、半分は自動翻訳機はスルーしちゃうのよ。

確か ニホンジン って聞いてたけど・・・ 彼がしゃべっているのは

日本語じゃないのかしら。

そうねえ  外見も茶色の髪に瞳・・って 変わってるものねえ ・・・

ま わたし達だってみんな変わりモノ揃いだから どうだっていいけど。

 

とにかく! 早急に一人前のサイボーグ戦士になってもらないと 困るの!

新人に足を引っ張られたくないわけ。

 

 

案の定、 あのコはやたら張り切りすぎて大チョンボ。

 「 !  医療スペースに運べ! 」

「 アイアイサ〜〜  けんど この坊、ようガンバリましたナ 」

「 ふふん・・・ 若干空回り気味でもあったが な 」

「 最初は仕方ないって。 この失敗が次に活きるよ。 」

「 そう願いたい。 あ〜 003 悪いが 」

「 了解。 意識が戻るまで確認するわ。 」

「 頼む。 少し余裕ができた お前も休んでこい 」

「 ありがと。 それじゃ遠慮なく 」

「 おう 」

「 あとでナ〜〜 おいしいモン、届けるよって♪ 

「 メルシ、006 」

 

ってわけで わたし、新人クンのお守りを仰せつかったわけよ。

すぐに意識は戻って 数値も安定してきたから安心したわ。

で  ちょっと雑談したのよね。 ・・・ プライベートなこととか・・・

わたしは違う時代から来た とか・・・

 

 そしたら ―

 

「 ・・・ ごめん ・・・ 」

あら ?   彼の瞳  温かい ・・・ 

 

 きゅ。

あら ?   こんな風に手を握ったのって 久し振り ・・・

 

「 ・・・ うん 少し眠るね  ごめん ・・・ 」

彼は素直に目と閉じたわ。

 

      ・・・ 休んで ・・・ 少しでも ・・・

 

わたし 静かに部屋を離れたの。

 

 

  それから ―  その時から あのコ、いえ 彼は少しづつ変わっていったわ。

 

 

 ズサ −−−−−  !!  

 

頭上の岩盤が崩壊してきて あ マズイ、と思った瞬間 ―

≪ 大丈夫だよっ ≫

 え??  短い通信が飛んできて ・・・ 気がついたら彼の腕の中にいたわ。

 

「  ・・・ あ 」

「 怪我はない? 」

茶色の瞳が わたしの顔を覗きこんでいた。

「 え ええ  アナタが救いだしてくれたの? 」

「 ウン。 加速装置、ちゃんと使えるようになっただろ? 」

  

   にこ。   彼が 笑ったわ。   

 

   きゅん。  心が 温まったの ・・・ 

 

あのコ、 009  いえ  ジョー・シマムラ は わたし達の仲間だわ !

 

 

Last updated : 09,18,2018.               index      /     next

 

 

***********  途中ですが

これじゃ 平ジョー よか もっと若いジョーかも・・・・

世代ギャップって すごかっただろ〜なあ・・・

でも らぶらぶになる ・・・ かな?  続きます♪