『 彼女・彼氏 ( あのひと・あのひと ) ― (1) ― 』
ひと目 見あったその日から
恋に落ちることも ある・・・?
一目ぼれ とかいうけれど。 そんなの 有り得ない?
いや あるでしょ。 ロミオとジュリエットとかそのテのハナシは
古今東西 溢れていますからね。
信じる 信じない は アナタにお任せ ・・・
で ここに。 一目で恋に落ちた二人 が います〜〜
§ 彼女 ( あのひと ) 島村ジョー君・談
やっば〜〜〜〜 超かわい〜〜〜〜 やべ〜〜〜
それが第一印象 さ。
一目ぼれっていうんだって、こ〜ゆ〜の。
ふ〜〜ん・・・ けどね、別にさ 彼女の顔とかだけに ぐ! って
思ったわけじゃないぜ?
だけどさ〜〜 なんつ〜か びびび って 来たんだよね 俺。
あ。 < ぼく > だった ・・・
うん ホント言うとさ あの時 ― っつか 初めて会ったときなんだけど
逆光になっててさ 顔とかよく見えなかったんだ。
え? 偏光レンズ眼で見えてただろって?
あのな〜〜 あの時って 俺 あ いや ぼく さ〜〜
も〜〜 なんがなんだか めっちゃくちゃだったんだぜ?
混乱の極み ってヤツさ。
最新型だろって ? そんなこと、わかるわけ ね〜だろ。
そもそも ぼくって理系じゃないし〜
最後に覚えてるのは こう・・・海に飛び込んだってことだけさ。
次に 目を開けたら ― うん なんかやたら眩しくて。
あ そうそう なんか拘束されてたっけ。
捕まったか?? って一瞬思ったけど 次に瞬間 ヘンなガスが流れてきて
あとは真っ暗 さ。
そんでもって。 目が覚めたら いきなり、だよ。
なにがって めっちゃ攻撃されてきたわけさ あの真っ赤っかな服着ててさ。
もうさ〜〜〜 最初は必死で逃げたよ。 当たり前だろ?
知らないヘンなものにおっかけられたら 逃げる が決まり。
必死で走ってたら なんか背中にわさわさしてるんだよ〜 超〜邪魔!
― あのマフラーさ、なんだってあんなに長いんだろ そう思わん?
それになんだってあんな色なわけ? 赤に黄色、だぜ?
信号じゃね〜よ〜 ・・・ とんだセンスだよ〜〜
俺 あ ぼく なら ・・・ そうだな〜〜 黒の防護服に
うん どうしてもマフラー必須なら ちょいと背中に垂れる程度にして・・・
色? へっへ〜〜〜 銀 とか ど? キンキラ金 でもい〜な〜〜
あ えっとね、 それでさ。
なんとか逃げている間に なんか甲高い声がアタマの中でがんがん・・・ 響いきて
あ〜〜〜 とうとう アタマ いかれちまった・・・って思ったさ。
僕ヲ 信ジテクレ。
いきなりそんな風に言われてさ〜〜 すぐに信じれる?
そんなん、 あっと言う間にオレオレ詐欺の餌食 だよ 気をつけな。
でもな〜〜 もうぎりぎり追い詰められて あの声にすがったんだ。
そんでもって ― カノジョと 会えた。
うん。 運命だった って 信じてる。
逆光で 顔なんかはっきり見えなかった。
でも でも。 ぼくには < 見えた > のさ。
そんでもって びびび がび〜〜〜ん。 撃ち抜かれたね〜〜
え? なにをって はーと に決まってるじゃん。
まあ 初めて会ったあと ― いろいろあってさ。
ドンパチ あったわけなんだけど ぼくは二ホン生まれ 日本育ちなんだぜ?
こんなカッコだけど さ。 あ 髪 染めてないから。 カラコンも入れてね〜よ。
そうさ〜 平和・ニッポン。 平成っ子。
ドンパチ なんて 映画かアニメかゲームの中 だけだよ。
銃? あんた 日本人なら持ったことあるのは せいぜいが水鉄砲だろ?
もう おたおたしてたら。
僕ノ 言ウ通リニ ヤッテミテクレ
例の声がさ〜 アタマの中で響いて ・・・・ なんとか切り抜けたんだ。
でもさ その後 すぐにまたドンパチ〜〜 始まって。
も〜〜〜 マジ 死にそ〜〜で < なかま > の後にくっついて
行ったんだけど。
003ト 一緒二行ッテ来タマエ
なんちっち〜 超〜〜うれし〜〜ことなんかもあったぜ。
・・・ カノジョ、いろいろ教えてくれたんだ♪
あ あの時さあ 俺 加速そ〜ち の使い方、覚えたんだ〜〜〜
初加速 ・ なう 〜〜〜〜♪ インスタ映えすんじゃね?
でも さ。
とうとう酷いダメージを受けて ― 医務室みたいなトコに担ぎこまれた。
よく 覚えてないよ、 だって 吹っ飛んで わ〜〜って真っ暗になり・・
気がついら ベッド だったんだからね。
あのコが 覗きこんでた。
「 あ 意識、回復したわね。 もう大丈夫 」
「 ・・・ あ ・・・ お 俺 ・・ 」
「 ・・・ 安心して。 ひとまず 無事だから 」
「 ・・・ 無事って ・・・ 怪我とかヤバいわけ? 」
「 大丈夫よ。 怪我は しないから。 」
「 ??? 」
「 少し 休んだほうがいいわ 」
「 ・・・ 」
マジ なんかぐた〜〜 だったから ちょっと助かったよ。
なんか俺の身体に いっぱいコードとかくっついてて・・・ 機械じゃね〜ぞ〜って
思ったけど あのコはベッドサイドに置いたPCみたいの、じ〜〜っと見てて
「 うん 数値に異常はないわ 」
「 ?? す すうち ? 」
「 ええ そのうちわかるから。 さあ 今ちょっと余裕があるから
眠っておいた方がいいわ 」
「 ・・・ う うん ・・・ 」
俺 なんかめっちゃ素直に なっちゃった。
あのコ ― 優しいコ だった ・・・ うん すぐにわかった。
顔が可愛いってだけの女の子は い〜〜っぱいいるけど
ホントに優しいコって そうそういないぜ?
お兄さんがいるって。 いいなあ ぼく 親も兄弟もいないからさ。
パリが故郷なんだって! かっけ〜〜 いいなあ・・
だから 思わず さ ・・・
「 パリに帰ったら またお兄さんに会えるね
」
そう言ったんだ、そしてら ・・・ ものすご〜〜く淋しい笑顔になった。
あ あれ・・・? ご ごめん なんかマズイこと 言った?
俺の表情で察したんだろうね。 透明っての? 向うが見えるみたいな笑みで
― ぼくがいいたいこと わかる?
「 ・・・ とんだおばあちゃんで ごめんなさいね 」
って! 言ったんだ ・・・ !
彼女の事情はわかったさ。 40年?? マジかよ?
わかった途端! 俺 なんかこう〜〜〜 奴らに 激こお だった!
なんでさ〜〜〜!! こんなカワイイ子をさっ!
「 そんなこっと。 トシなんてぼくには関係ないよ 」って 言いたかったんだ。
ホントにそう言いたかったんだ。
けど ― うまく言葉がでなくて どう言ったらいいかわかんなくて
でも なんとか彼女のこんな顔、消してあげたくて でも なんもいえなくて
きゅ。 すぐ側にあった彼女の手を 握ったんだ。
「 あ あら ・・・ 」
「 ・・・・ 」
相変わらず な〜〜んも言えなかったけど。 けど!
俺 いや ぼくはこの時、決めたんだ。 ずっと彼女を護ってくって。
「 009 」
「 ぼく 島村ジョー っていうんだ。 よろしく! 」
「 あ あら。 わたしは フランソワーズ・アルヌール。 」
「 ふらんそわ〜ずさん かあ〜 キレイな名前だね 」
「 そう? ふふふ・・・ 古臭い名前なんじゃない? 」
「 を そんなコト、ないって! 」
「 ありがと 」
「 あ うん ・・・ ぼくこそ ・・・ いろいろ教えてくれて
ありがとう。 」
「 ? なにも教えてないけれど ・・・ 」
「 え〜 だってほら。 どんぱちやってた間 ず〜〜〜っときみの声で
いろいろ・・・データっていうの? あれが聞こえてたよ 」
「 ・・・ ああ。 アレは 戦闘中のわたしの仕事ですもの。 」
「 きみの しごと ・・・? 」
「 そうよ。 わたしの能力 ( ちから ) は 強化された聴覚と視覚。
戦闘中は皆のレーダーでありソナーだわ。
だから位置データとか 砲撃弾の軌道とか ・・・ 皆に送るの。 」
「 すっげ〜〜〜な〜〜〜 ・・・ あ でも もらったデータって
ぼく用のだった ・・・けど 」
「 そりゃそうよ。 皆にそれぞれ送っているの。
あのね <聞こえた> のじゃなくて。 脳波通信でアナタの知覚に
直接送っているのよ 」
「 へ ・・・ え ・・・ 」
「 アナタね、009。 きちんと自分自身の能力 ( ちから ) を
把握していなければダメよ。 009は最新型って聞いているけど
その能力を使えなえれば 意味ないのよ 」
「 あ ・・・ そうですね ・・・ はい。 」
「 ? 可笑しなヒトねえ。 あのね、わたし達は皆それぞれ
違った特殊能力を強化されているの。 余裕がでたら仲間たちの
能力 ( ちから ) も知っておくことね 」
「 はい ・・・ 」
「 それで ・・・ 009 あなたは? 」
「 ジョー。 島村ジョー。 」
「 え? あ ああ ・・・ごめんなさい、 ミスタ・シマムラ 」
「 ジョーだよ ジョー。 」
「 ジョー。 あなたの能力 ( チカラ ) は なに 」
「 ぼくの ・・・ なんだって? 」
「 だから 最新型の009の能力を 説明してちょうだい。 」
「 あ あの ・・・ 」
「 博士からレクチュアされたでしょう? 」
「 あ ・・・ うん なんか紙 みせてもらったけど 」
「 じゃあ それをしっかり把握して。 そしてわたし達にも伝達して。
仲間の詳しい能力を知っておかないと ― 今後の作戦のためにも ね 」
「 さくせん ? あの なにかあるの 」
「 ・・・ 」
ふう〜〜〜〜
彼女ってばさ 俺の顔、じ〜〜〜っと見てため息ついたんだよ。
え なに? 俺 ・・・なんかヤバいこと言った ??? って焦ったぁ〜〜
・・・ そ。 この時 な〜〜んもわかってなかったから。
< 自分の能力 > なんて言われたってさ、わかるわけないじゃん。
博士がみせてくれた紙? そりゃみたけど、よくわかんなかったし・・・
覚えられるわけね〜〜よ って思ってたし。
< 能力 > なんていわれてもさ〜〜〜 どうやったらスイッチ・オン に
なるわけ〜〜って。 俺 思わず自分の身体 みちゃったさ。
どっかに スイッチ とか ボタン とかくっついてんのかな〜〜〜って。
全然。 この前、風呂に入ったときと同じなんだ。 うん。
さいぼーぐ って言ってたけど・・・ 全然変わってね〜じゃん。
出会った < なかま > 達の中にはさ うっわ〜〜〜ってメカっぽい部分が
見えるヒトもいたけど ・・・ 俺は全然 変わってないんだもん。
わっかるワケ ね〜じゃん! って思ったけど。
「 ごめん。 あの ― 俺 あ いや ぼく・・・
その〜〜〜 いろいろ 混乱してて。 よくわからないんだ。
ごめん 教えてくれる ? 」
点数 稼がなくちゃ〜〜〜 って う〜〜んと丁寧に 言ってみたんだ。
神父様に よ〜〜〜くよく言われたもんな。
目上のヒトと話す時は 丁寧な言葉づかいをしなさい。
これは 君のためでもあるのですよ?
君が礼儀正しい少年だな、といい印象を持ってもらえます。
そ〜なんだ〜〜 印象って大事だぜ?
俺 なんとしても このコ、 こっち向かせるだ〜〜〜って決めてたからね。
マジで 真面目な新人 を 演って ( やって ) みたよ。
― そしたら ・・・
「 ああ ・・・ ごめんなさい。 アナタ、改造されてから
まだ日にちが浅いのよねえ ・・・ 詳しいことなんか わかるワケないわよね。 」
彼女〜〜〜 謝ってくれたんだ。
え〜〜〜 キミのせいじゃないってば。 そんなの、ナシ だよう〜
「 あ ごめん。 謝るのはぼくの方です、 すいません。
あの ・・・ そんでもって。 もし よければ 」
「 ?? なあに 」
「 ハイ。 あのう ・・・いろいろ 教えてもらえませんか 」
「 ・・・ そうね。 それしか方法はないわねえ ・・・・
いつまたアイツら が やってくるかわかないんですものね。 」
「 う うん ・・・ 」
「 いいわ。 では まず わたしが知っている限りの情報を 送るわね。 」
「 は はい ・・・ う わあ〜〜〜〜〜????
」
突然。
アタマの中に ぶわ・・・っと すっげ〜〜〜 量の じょうほう っての?
なんかいろいろ・・・ 入ってきたわけ。 数字とか ガバ!!!
マジ、頭 ブチきれるかと思ったよ。
「 受け取った? それを補助脳にキープしておけばいいわ。
それで アナタの身体が自然に反応してくれるようになるはず・・・ 」
ほじょのう? なんだ ソレ?
キープ ってさ。 ああ 上書き保存 とかしておけってこと??
だけどぉ〜〜 どうやってやるんだよ〜〜〜〜
俺のどっこにも 見慣れないボタン とか スイッチは ないんだ〜〜
「 ・・・さあ もう眠った方がいいわ 明日 ・・・ どうなるのかしら 」
俺〜〜 めっちゃ混乱してるのに 彼女はとても静かに言って
部屋を出てゆこうとしたんだ。
「 あ う うん ・・・ あの ・・・ 」
「 ? まだ なにか。 」
「 あの。 ごめん 教えてください。 キープ とか・・・
そのう ・・・どうやればいいのかな。 どこかにスイッチとかある ? 」
「 え? ・・・ ああ そうなのね、それもわかないなのね 」
「 ・・・・ 」
彼女ってば じ〜〜〜っと俺を見た。 そして・・・
「 あのね。 そうしよう、と強く意識して。 それでインターフェイスが
稼働するから。 ・・・ 外付けスイッチ はないのよ 」
「 ・・・ あ はあ・・・ 」
「 じゃあ ね。 お休みなさい 」
「 あ ・・・ あ お おやすみ ・・ なさい 」
パタン。 彼女は静かに ホント、足音も立てずに出ていったんだ。
うっそ?? いしきする だけ??
「 マジかよ〜〜〜 ・・・・ ん〜〜〜 あ あれれれ ?? 」
音 聞こえろ〜〜 って念じたんだ、そしたら!
カツカツカツ お〜い 新入りの様子はどうだ? なあ 腹へった〜〜
突然 今まで聞こえてなかった < 音 > が どどどど〜〜〜〜って
俺の耳に入ってきたんだ!
「 ひょえ 〜〜〜 ・・・・ すっげ すっげ すっげ〜〜〜な〜〜〜 」
これって < さいぼーぐ としての能力 > ってわけ??
「 ・・・・・・ 」
俺、いや ぼくはひたすらびっくり☆ で 医療ベッドに中で
固まっていた。
・・・ そっか。 もうニンゲンじゃない ってことか
ふっと・・・そんな風に思えて ― なんかさ〜〜〜 急に胸 キュンさ。
「 009。 そっか ・・・ 島村ジョー は死んじまって
ここにいるのは さいぼーぐの 009 ってことか 」
すっげ < 能力 > があるらしいのは なんとなく感じた。
けど けど。 ニンゲン・島村ジョーは もういない ってことが
なんか なんか めっちゃ辛くて。 ショックで。
ち ちくしょ〜〜 そんなんしてくれって誰が頼んだよ?!
またまた 怒りめらめら〜〜〜 なんだ。
「 ! そしたら ・・・ あのヒト達 001 から 008 まで
ってことは あの! キレイちゃんも ・・・ 同じ なわけ か ・・・? 」
ぼぼぼぼぼぼ〜〜〜〜〜〜
俺 もう 激おこ なんてもんじゃなかった。
あんなカワイイ・キレイなコに なんてコト しやがったんだよ〜〜
俺が 護る。 あのコ ふらんそわ〜ずちゃんを。
この俺様が 護るんだあ〜〜〜
怒りのBBQになりつつ 俺 いや ぼく、 009は そう誓ったのであります。
§ 彼氏 ( あのひと ) フランソワーズ・アルヌール嬢・談
ラスト・ナンバーの改造が始まった ・・・
断片的な < 情報 > が 一瞬脳裏に飛んできて 消えたわ。
「 了解 」
短く返信し すぐに脳波通信を閉じた。
周波数は登録されているから 奴らには筒抜けだもの。
でもね それが狙いでもあるわけ。
全部わかることを いちいち細かくチェックなんかしないものよ ― 普通のニンゲンはね。
だから ごく普通のコトバなんかはほぼスルーされているの。
短ク 送ルカラ。
001から それこそ短い通信がくるの。
それで わたし達は わたし達の極秘作戦 ― 悪魔の島からの脱出 ― を
じりじりと進めていたのよ。
ギルモア博士? ええ ・・・ そりゃ 初めは信用なんかしなかったわ。
逆スパイ じゃないけど そんな罠の可能性が高いじゃない?
だって サイボーグ計画の首謀者が そんな ・・・
001だってすぐには 乗れなかったって。 当然よ。
それどころか
用心セヨ。 新タナ心理とらっぷカモシレナイ。
そんな通信も来たわ。
誰も疑心暗鬼、 信じられるのは仲間たちだけだった・・・
でも ね。 違ったの。 博士の決心は本当に強固だった。
何十回も彼の精神をトレースし、001はやっと心を許したって言ってたわ。
そして ― 全員で決めたの。
最後の一人の改造が終わったら 彼を味方にして脱出、ってね。
最後の一人、つまり 009は最新型、最強のサイボーグって聞いてたから・・・
頼もしい仲間になるだろう、って 001も判断したのでしょうね。
― それで あの日 を迎えたのよ。 ええ 全員が切望していた日・・・
009 は わたし達の前に現れたわ。
だけど。
彼は 不安な瞳をした少年で 混乱の極みらしかった・・・そりゃそうよね。
皆 ええ わたしだって < 目覚めた時 > はそうだったもの・・・
すぐに 恐ろしい絶望の淵に叩き落とされたけど・・・。
当然でしょ? だいだいね、拉致してきて勝手に改造って許されない行為よ!
悪魔の組織だってそれだけでもわかるでしょう?
そんな一味に捕まってしまった ・・・ もう なにがなんだかわからないわよね。
でも。 でも ね!
・・・ ! なんなの このコ !
わたし、表情は変えなかったけど 心の中では思いっ切り!顰めっ面してたわ。
009なのよ? 最強・最新型のサイボーグなのよ?
なのに・・・!
ねえ すぐに地面に座り込むの、やめて。 だらしない・・・
ええ わたし ちっちゃいころからレッスンの間は 絶対座っちゃだめ って
言われてきたからもう ~~~
普通の時だって習慣になっているの。 立っている方が楽よ。
だって みっともないでしょ、べたべた床に座ったり・・・
オトコの子なのに! なにかっていうと座り込んで それも隅っこで。
ちょっと〜〜 そんなトコでいじけてる余裕 ありませんっ
≪ 003、 009ト 一緒二行ッテキタマエ ≫
001に言われて 009と見回りに外に出たけど。
もう これは < 付き添い > だったわ ・・・ 坊やに付きそうナンニーよ。
だってね! な〜〜んにもわかってないの あのコ!!
現在の状況はおろか 自分自身のことすらも!
小高い丘にでたわ。 海岸線が見えていろんな鳥とか小動物がいたの。
「 ・・・げ。 なんだ アレ〜〜 」
「 ? ああ ・・ 変わった鳥でしょう?
ここは二つの潮流が出会う位置にあるらしくて 珍しい動物がいるのね 」
「 マジ〜〜〜 」
「 ? ここからだと海岸線がよく見えるわ・・・ あ。 」
「 な なに?? 」
「 ロボット兵団 が 上陸してくる 」
「 !! ここにいたら危ないんじゃね? 」
「 ええ。 やっつけてきたら? アナタなら簡単でしょう? 」
「 はあ!? お 俺が?? なんで? 」
「 ? なんで ・・・って。 あなた 009 でしょう? 」
「 ぜ ・・・ なに?? 」
「 009。 自分の能力を確かめるためにも 格好の相手だと思うわ。
ロボット兵だもの、斟酌は無用よ
」
「 ・・・ だ だ だって ロボット なんだろ アレ 」
「 そうよ。 」
「 やべ〜〜〜じゃん! 俺 ニンゲンだし〜 ムリ〜〜〜 」
「 スーパーガンの使い方、教えたでしょう? アイツら 動きも鈍し
カンタンよ。 さあ 行って! 」
「 ・・・ マジ〜〜〜〜 ? 」
「 そろそろヤツらのレーダーにも ここがひっかかるわ。
先手必勝よ、 行って! 」
「 ぼ 暴力 はんたい・・・ 暴力はなにも解決しません・・・ 」
「 009! ( バカじゃないの、このコ! )
行かなければ こっちがやられるのよっ 」
「 うっそ ・・・ やべ〜〜・・・」
ぶつぶつ言いつつも 彼はやっと動きだしたの。
闘いだせば さすが最新型よね、あっと言う間にロボット兵団は壊滅した。
「 ・・・ ふう ・・・ 」
「 ふふ ・・・ やったじゃない? 」
「 ・・・ こんなことばっかなわけ? 」
「 え? 」
「 これからさ〜 ず〜〜っとこんな事ばっか? 」
「 え ・・・ この島を抜け出すまではね。 」
「 じゃ さっさと逃げようぜ 」
「 だから! そのために闘っているのよっ 」
「 あ そ っか ・・・ 」
「 そうよっ そのためにアナタのチカラが必要なの、 009 」
「 うっそ〜〜〜 ・・・ 」
「 嘘なんて言ってません。 」
「 は? 」
うっそ〜〜〜 マジ? やっべ〜〜〜 は?
なにかっていうと そう言うんだけど ・・・ どういう意味なのかしら。
あのコのコトバ、半分は自動翻訳機はスルーしちゃうのよ。
確か ニホンジン って聞いてたけど・・・ 彼がしゃべっているのは
日本語じゃないのかしら。
そうねえ 外見も茶色の髪に瞳・・って 変わってるものねえ ・・・
ま わたし達だってみんな変わりモノ揃いだから どうだっていいけど。
とにかく! 早急に一人前のサイボーグ戦士になってもらないと 困るの!
新人に足を引っ張られたくないわけ。
案の定、 あのコはやたら張り切りすぎて大チョンボ。
「 ! 医療スペースに運べ! 」
「 アイアイサ〜〜 けんど この坊、ようガンバリましたナ 」
「 ふふん・・・ 若干空回り気味でもあったが な 」
「 最初は仕方ないって。 この失敗が次に活きるよ。 」
「 そう願いたい。 あ〜 003 悪いが 」
「 了解。 意識が戻るまで確認するわ。 」
「 頼む。 少し余裕ができた お前も休んでこい 」
「 ありがと。 それじゃ遠慮なく 」
「 おう 」
「 あとでナ〜〜 おいしいモン、届けるよって♪ 」
「 メルシ、006 」
ってわけで わたし、新人クンのお守りを仰せつかったわけよ。
すぐに意識は戻って 数値も安定してきたから安心したわ。
で ちょっと雑談したのよね。 ・・・ プライベートなこととか・・・
わたしは違う時代から来た とか・・・
そしたら ―
「 ・・・ ごめん ・・・ 」
あら ? 彼の瞳 温かい ・・・
きゅ。
あら ? こんな風に手を握ったのって 久し振り ・・・
「 ・・・ うん 少し眠るね ごめん ・・・ 」
彼は素直に目と閉じたわ。
・・・ 休んで ・・・ 少しでも ・・・
わたし 静かに部屋を離れたの。
それから ― その時から あのコ、いえ 彼は少しづつ変わっていったわ。
ズサ −−−−− !!
頭上の岩盤が崩壊してきて あ マズイ、と思った瞬間 ―
≪ 大丈夫だよっ ≫
え?? 短い通信が飛んできて ・・・ 気がついたら彼の腕の中にいたわ。
「 ・・・ あ 」
「 怪我はない? 」
茶色の瞳が わたしの顔を覗きこんでいた。
「 え ええ アナタが救いだしてくれたの? 」
「 ウン。 加速装置、ちゃんと使えるようになっただろ? 」
にこ。 彼が 笑ったわ。
きゅん。 心が 温まったの ・・・
あのコ、 009 いえ ジョー・シマムラ は わたし達の仲間だわ !
Last updated : 09,18,2018.
index / next
*********** 途中ですが
これじゃ 平ジョー よか もっと若いジョーかも・・・・
世代ギャップって すごかっただろ〜なあ・・・
でも らぶらぶになる ・・・ かな? 続きます♪